日本で働いている20歳以上の人は、日本人であっても外国人であっても、年金を納める義務があります。ただし、日本から帰国した外国人は、いままで支払った年金を取り戻すことができます。
脱退一時金とは
日本で働く外国人が帰国する際に、それまで納付した年金保険料の一部を払い戻せる「脱退一時金」制度です。ただし、いつでも払い戻せるわけではないので、注意が必要です。日本で働いているかぎり、年金は納めることになっていますが、日本年金機構へ請求することで取り戻すことができます。
払い戻しの条件
払い戻しを受けるには、下記の条件が必要です。
- 日本国籍を有しない
- 公的年金(国民年金・厚生年金)の加入期間が合計6ヶ月以上10年(120ヶ月)以内であること
- 日本国内に住所がない
- 年金を受ける権利(障害年金等)を有したことがないこと
- 公的年金の被保険者資格を喪失した日(または日本国内に住所を有しなくなった日)から2年が経過していない
つまり、年金加入期間が6ヶ月以上10年未満の人が払い戻し対象ということになります。そして、日本を出国して2年が経過した場合は、時効となり受給ができなくなりますので注意が必要です。
払い戻しの注意点
脱退一時金を受け取ると、それまで日本で納めた年金記録の扱いについて以下のデメリットが発生します。
- 年金加入期間が「ゼロ」になる
脱退一時金を受け取ると、その計算の基礎となった期間(過去に保険料を納めた期間)は、すべて「なかったもの」としてリセット(清算)されます。将来、日本に戻って再び働くことになった場合、過去の期間は合算されず、ゼロからのスタートとなります。日本の老齢年金を受け取るには原則10年の加入が必要ですが、過去の期間が使えないため、受給資格を得るハードルが上がります。再び日本で働く可能性があるかたは、ぜひそこも検討してから払い戻しを受けてください。 - 社会保障協定国の場合、期間を通算できなくなる(重要)
脱退一時金を受け取ってしまうと、日本の加入期間が消滅するため、母国の年金加入期間としても通算できなくなります。
短期滞在で、今後日本や協定国で働く予定がない場合: 脱退一時金を請求し、現金を受け取るメリットが大きいです。
将来日本に戻る可能性がある、または協定国の出身者の場合: 目先の現金(脱退一時金)を受け取らず、加入期間を温存しておくことで、将来的に「日本の老齢年金」や「母国の年金(通算利用)」を受け取る方が、生涯の受給額では有利になる可能性があります。
日本と社会保障協定がある国: ドイツ,アメリカ,ベルギー,フランス,カナダ,オーストラリア,オランダ,チェコ, スペイン,アイルランド,ブラジル,スイス,ハンガリー,インド,ルクセンブルク, フィリピン,スロバキア,フィンランド,スウェーデン
ちなみに、中国は日本と社会保障協定(派遣等)を結んでいますが、年金期間の合算は行われません。そのため、中国籍の方は脱退一時金を請求するメリットが比較的高いと言えます。
脱退一時金は一度受け取ると取り消しができないため、特に出身国が社会保障協定の対象国である場合は、将来のライフプランを含めた慎重な判断が必要です。
また、払い戻し額は最大5年分です。もし9年間年金を納めていたとしても、9年分戻って来るわけではありません。
Q&A

2年以上経っても請求できますか?

残念ながら時効となります。

一度帰国して「脱退一時金」をもらった後、また日本で働くことはできますか?

はい、可能です。 再来日して働くことに制限はありません。ただし、過去の年金加入期間は「ゼロ」からのスタートになる点だけご注意ください。

20%の税金が引かれると聞いたのですが、本当ですか?

厚生年金の場合、受け取り時に20.42%の所得税が源泉徴収されます。 しかし、この税金も「確定申告」という別の手続きを行うことで、さらに取り戻すことが可能です。当事務所では、この「免税還付(所得税還付)」までセットでサポートしています。

請求してからどれくらいで戻ってきますか?

書類に不備がなければ約4ヶ月であなたの口座に振り込まれます。
まとめ:日本での努力を、確実な形で受け取るために
日本で懸命に働き、納めてきた年金は、あなたの大切な財産です。帰国という大きな転機のあとに、この「脱退一時金」をしっかり受け取ることは、次の新しい生活への大きな一歩になります。
しかし、以下の点には特に注意が必要です。
- 2年という短い時効: 出国から2年を過ぎると、1円も取り戻せなくなります。
- 書類の不備: 海外からの郵送やり取りは時間がかかり、不備があると時効が迫るリスクがあります。
- 所得税(20%)の還付: 厚生年金の場合、自分一人では取り戻せない税金(所得税還付)があります。
せっかくの権利を、手続きのミスや期限切れで無駄にしてほしくありません。 **「自分のケースでいくら戻るのか知りたい」「確実に、最短で手続きを終えたい」**という方は、ぜひ専門家である当事務所へご相談ください。
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- 脱退一時金の請求期限は「日本出国から2年以内」
- 一度受け取ると日本の年金期間はリセットされるので慎重に。
- 自分での申請は書類不備や時効のリスクがあるため、専門家への依頼が確実です。
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