人生100年時代。大切なご家族に財産をスムーズに引き継ぎ、将来のトラブル(いわゆる「争族」)を防ぐために、遺言書の作成を検討される方が増えています。
日本で作成できる遺言書には、ご自身で手書きする「自筆証書遺言」などいくつか種類がありますが、専門家として最もおすすめしたい、安全で確実な方法が「公正証書遺言」です。
今回は、この公正証書遺言がどのようなものなのか、そしてなぜおすすめなのか、メリットとデメリットを交えて分かりやすく解説します。
「公正証書遺言」とは?
ひとことで言うと、「公証役場という公的機関で、法律の専門家である公証人に作成・保管してもらう遺言書」のことです。
ご自身で書く遺言書は手軽な反面、「書き方のルール(法律の要件)を満たしておらず無効になってしまった」「死後に見つけてもらえなかった」といったリスクが伴います。 ご自身の想いを「安全に、そして確実に」ご家族へ残したいのであれば、公正証書遺言がベストな選択と言えます。
公正証書遺言の「6つのメリット」
実務上、公正証書遺言には他の遺言書にはない圧倒的なメリットがあります。
①内容が正確で、法的に無効になりにくい
法律の専門家である公証人が、遺言の内容が法律の要件を満たしているかを厳格にチェックしながら作成します。表現も明確になるため、将来の解釈をめぐる親族間のトラブルを未然に防ぐことができます。
②大変な「遺産分割の手続き」を大幅に短縮できる
遺言書で「誰に・どの財産を渡すか」を決めておけば、ご本人が亡くなった後、ご家族が苦労して実印を集め、遺産をどう分けるか話し合う(遺産分割協議)必要がなくなります。
たとえ家族仲が良く、専門家に手続きを頼んだとしても、戸籍謄本を昔までさかのぼって集めるなどの煩雑な作業があり、実際には手続き完了までに3ヶ月〜6ヶ月もかかってしまいます。
しかし、法的に有効な遺言書が1つあるだけで、ご家族はすぐに不動産の名義変更や預貯金の解約手続きを進めることができます。悲しみの中で、ご家族に煩雑な手続きの負担をかけずに済むのが大きなメリットです。
③ 家庭裁判所での「検認(けんにん)」手続きが不要
手書きの遺言書の場合、亡くなられた後に発見しても勝手に開封してはいけません。まずは家庭裁判所に持ち込み、「検認」という時間のかかる手続きを経る必要があります。 検認とは、家庭裁判所がすべての法定相続人に対して「遺言書が見つかりましたよ」と周知(通知)し、遺言書の存在と状態を確認する作業のことです。相続人全員の戸籍を集めて裁判所に申し立て、全員に通知が行き渡るまで数ヶ月待たされることも珍しくありません。 一方、公正証書遺言は公的に証明された文書であるため、この煩わしい検認手続きが一切不要です。ご家族の手を煩わせることなく、すぐに不動産の名義変更や預貯金のお手続きを進めることができます。
④ ご本人の「意思能力」が確認されるため争いになりにくく、柔軟な対応が可能
作成の際、公証人がご本人と直接面談し、精神状態や本当の意思(意思能力)をしっかりと確認します。そのため、後になってから「認知症で判断能力がなかったはずだ」「誰かに無理やり書かされたに違いない」といった理由で遺言が無効になるケースは極めて稀です。
さらに公正証書遺言には、「文字が書けない」「言葉を発せない」といった方でも作成できるという強力なメリットがあります。公証人がご本人の意思を汲み取って代筆(筆記)してくれたり、手話や筆談を介して意思確認を行うなど、柔軟に対応してくれます。 また、体調が優れず公証役場まで足を運べない場合は、公証人がご自宅や病院、介護施設まで直接出張してくれるなど、実は非常に融通が利く制度なのです。
⑤ 原本の安全な保管と「全国検索システム」
遺言書の原本は公証役場で厳重に保管されます(通常、作成者が120歳になるまで)。そのため、紛失や、誰かに改ざん・隠蔽される心配が一切ありません。また、全国の公証役場はネットワークで繋がっているため、万が一の際、ご家族は最寄りの公証役場で「遺言書が残されているか」を検索することができます。
⑥ 徹底した秘密保持
作成には2名の証人が立ち会う必要がありますが、ご本人が亡くなるまで、公証役場からご家族を含めた第三者に遺言書の存在や内容が漏れることは絶対にありません。
公正証書遺言の「デメリット」
メリットが非常に多い公正証書遺言ですが、作成にあたっては以下の2点を知っておく必要があります。
① 費用(公証人手数料)がかかる
手書きの遺言書とは異なり、作成には財産の額に応じた「公証人手数料」を公証役場に支払う必要があります。しかし、数十年間にわたる安全な保管と、ご家族の将来のトラブルを防ぐ「究極の安心」を買うと考えれば、決して高いものではありません。

② 作成までの手続きに「手間と時間」がかかる
これが最大のハードルです。作成当日までに、以下のような準備が必要です。
- 公証人との事前の打ち合わせ(文案の調整)
- 戸籍謄本、印鑑証明書、不動産の登記事項証明書、固定資産税評価証明書などの収集
- 利害関係のない「証人2名」の手配
日中お仕事をされている方や、ご高齢の方にとって、これらをすべて自分で行うのは大変な労力となります。
面倒な手続きは、専門家にお任せください!
公正証書遺言はご家族への「優しいお守り」ですが、その作成には専門的な知識と膨大な手間がかかります。
「家族への想いはあるけれど、何から手をつければいいかわからない」 「平日に役所や公証役場へ行く時間がない」
そんな時は、ぜひ当事務所にご相談ください。 当事務所では、事前のヒアリングから、複雑な戸籍等の書類収集、法的に確実な遺言書の起案、公証人との事前打ち合わせ、そして当日の「証人」としての立ち会いまで、すべての工程をサポートいたします。
まずは、お気軽にご相談ください。ご自身の状況に合わせた最適なプランをご提案いたします。


